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2007年度 理事長所信

社団法人立川青年会議所
第43代理事長
渡辺 博昭


我々青年こそが高き理想で国・地域の進化を導く

子ども達が希望に満ち溢れる明るい豊かな社会の実現を目指して

Powerful(力強く),Positive(前向きに),Possible(全力で)


進化の扉

わずか60 年前は多くの若者が国、地域、家族の為に自分の命を犠牲に戦いました。家族への最後の手紙を読むと心が痛みます。戦後は何も無い状態から幾年に亘って理想社会に向けて、国民が一体となって目覚しい復興を遂げました。かつての理想社会は“衣食住”が満たされた生活を送ることを求めていたと思います。


しかし物が溢れた現代では、大きなライフスタイルの変化はなく、現在の日本の社会は、不正、偽装問題、法令違反、談合、汚職そして親が子を殺したり、子が親を殺したりと以前では考えられなかった様々なマイナス要素が日常のニュースとして耳にするようになりました。このような問題は、名誉より富や利便性だけを追求し、金さえあれば何でもできるといった裕福に成りすぎて礼節を忘れた“心の豊かさが欠けた世の中”が要因であると感じます。また、日本古来の武士道の精神から大きくかけ離れ、倫理感や道徳心の欠如があるといえます。


思いやりや感謝の心が失われつつある日本。ネット社会が発達しコミュニケーションの前提が崩れ始めている社会。人が倒れていても助けない、他人ごとのように自分さえ良ければいい人々。関わらないことが損をしないという生き方。人間として正しい方向を忘れているのではないでしょうか。我々現代の若者は何をやっているのだろうか。自分たちが国や社会に無関心で何もしなくても生きていけるようになったのは、明るい未来のために考えていた先達の魂があったからではないでしょうか。その貯金を食いつぶして生きているだけなのです。そんな無関心な社会は我々青年で切り拓こう!次世代の子ども達が希望に満ち溢れる明るい豊かな社会を取り戻すため、伝統ある日本の魂を呼び起こすため、進化の扉を開こう!


青年としての使命

「仕掛ける・仕向ける・し続ける」何事にも攻めの熱い姿勢と継続意欲が無くてはいけません。青年会議所は設立以来、単年度制で行われています。組織としての役職は単年度ですが、事業は違います。また、決して自己満足の為に事業を行うのではありません。我々青年は強い使命感を持ち、誰もが避けて通るような地域の諸問題を調査研究し、地域社会の発展の為、次世代の子ども達の為に運動展開を図らなくてはいけません。やりっ放しは何もしないより悪い。熱い思いで事業を仕掛け、そして地域を同じベクトルへと仕向け、諸団体や行政と共に運動し続けることが重要です。単年度制に捉われず進化を導き、何事にも明るくプラス思考でチャレンジしよう。


地域へ仕掛ける

立川青年会議所は3 市からなる広域の青年会議所です。立川・国立・武蔵村山市の地区委員会が魅力溢れる地域を継続的に創造しなくてはなりません。地域の諸問題に対しては地域団体や行政と意見交換をしながらプラス思考で進んでいく必要があります。それぞれの地域によって取り組む課題や特性は違いますが成果があるものに関してはお互いが認めあいモデルケースとして、取り入れていきます。


まず地域への仕掛けとしては、“まちに愛着を持てる子どもづくり”を基本に各地域で運動を展開します。現代の子ども達は物の溢れた社会、ネットが発達した情報社会により、あまりにも簡単に欲しい物や情報が手に入るようになりました。物質的な豊かさに包まれた暮らしは、反面、子ども達の心の豊かさを取り上げていることにも繋がっています。そして、そのまま成長すると厳しい環境に適応できない精神とコミュニケーションが図れない大人になる可能性があります。また治安の悪化により、地域の方に声を掛けられても関わらないような風潮が多く見られ、地域のコミュニケーションの前提さえ崩壊が進んでおります。さらには子ども達をきちんと叱れる親や大人が少なくなってきています。このような環境を打破するためには、もっと子ども達と対話し、ふれあいそして理解することが必要です。そして親・地域の大人・学校・行政・地域企業が青少年問題に対し真剣に議論し、地域住民による主体的な運動として取り組むことが重要です。子ども達が地域に愛情をもって根付くような環境を地域で主体的に創り出すべきです。


子ども達の教育環境が良くなければ、また子ども達がまちに魅力を感じなければ、まちの将来を担う子ども達は地域に残らず外へ流出していきます。そのためには、地域の小学校・中学校へ誰もが通いたい魅力溢れる学校にすることが必要です。我々が教育制度・学校のあり方に深い関心を持ち、変革するために行動しなければなりません。そして子ども達が未来へ希望を持ち、生き生きと育める教育環境を整え、まちに愛着が持てるように運動展開を図ります。


中学校では企業への職場体験のカリキュラムがあり、教育の一環として行われています。しかし現実は受入先の企業に、学校側が全て“お任せ”的に行われております。果たして子ども達に本当の成果が生まれているのでしょうか。ここでの大切なことは、職場体験を通して、子ども達が地域の大人との会話を持ち、働いている親や自分が生活できている環境に感謝できるようなことが必要ではないかと考えます。人、社会での基本を教えるような職場体験プログラムを確立して、学校、企業に提供します。


自然体験を経験していない子どもは、約4割いるといわれております。本来であれば自然体験のような非日常空間で遊ぶ時が一番わくわくするものです。しかし、ゲームと現実の境界線がぼやけがちになるゲーム脳になっている子ども達が増えております。そんなバランスを欠く子どもたちの常識を覆し、まったく異なった世界を子どもの頃に体験させることが重要です。人・まち・環境に対する思いやりを育める体験プログラムを地域に提供します。


市民参画へ仕向ける

今後は一層、地域主権社会が確立されていきます。地域行政の主導でまちが変化していくことが予測されます。また、まちづくりはいかに多くの市民の意識を変えられ、参画してもらうかが重要な課題となってきています。立川JC では市民参画型の市民討議会の有効性を確立しつつあります。今後は、行政とタイアップできるように仕向けて運動することが重要です。そして市民討議会を通して、地域の課題や問題点に対する市民の声を抽出し、その声をもとに我々がまちのオンブズマン的な役割を果たすことが必要です。また、市民の声をもとに政策を提言し、変革に向けて行動していきます。


絆ということが失われつつある日本。我々は地域社会の絆を再構築していかなければなりません。そのためには今まで以上に立川JC も積極的に市民と共に運動しなくてはなりません。その絆から地域コミュニティを広げるとともに立川JC の認知度のアップを幅広い世代にできるようにPR していきます。また、一方通行のPR ではなく、運動に対する市民の声がリターンしてくる双方向的なメディアを構築していくことが必要です。


2007 年から定年による大量退職が始まる団塊の世代。今までの日本の経済を支えてきた方々の知識や経験を地域活性化の担い手として、我々がまちづくり参画できる環境づくりを視野に入れ運動の幅を広げることが必要です。


地域市民がまちづくり運動を行う上でひとりの思いを支援する「ゆめ基金」が創設され2年が経ちます。この事業に求められていることは、自分たちが生まれ育ったまちが如何にしたらより豊かで住みよいまちとして、継続的に発展していくのかを真剣に考えている市民の方に活用していただけるように展開することです。基金を有効的に活用し、実績と共に基金を増やすことを視野に入れて、多くの地域企業のサポートを仕向けられるように活動しなければいけません。


多文化共生・国際へ仕掛け・仕向ける

昨年の国勢調査結果で総人口が初めて減少に転じました。現在、世界10 位の人口の日本ではありますが、出生率1.25 が続くと半世紀後には約8,000 万人の人口になるともいわれております。人口が減れば労働力が低下し、経済成長にもブレーキがかかります。また、国内の地域の衰退にも繋がります。地域が衰退すれば、若者は自分が生まれ育った地域を離れていくことも予想されます。そこで人口が減少する日本で活力ある社会を生み出すためには、優秀で多様な価値観を持つ外国人の力を活用しなくてはなりません。だが、現状では制度面でも日本人の外国人に対する意識の面でも遅れをとっております。そこで立川周辺地域の今後を見据えて、地域の国際化に向けた環境づくりや子どもの頃から国籍・年齢による世代間の価値観の格差・ハンディキャップなどを越えた、ボーダレス意識の浸透を図る多文化共生できる事業を地域と連携し、継続的な運動を仕掛けていきます。


また地域の中では、将来的に国際社会への窓口にもなりうる横田基地問題にも積極的に取り組む必要があります。横田基地からアジアの各国と往来できれば、国際化、地域の経済の活性化にも繋がります。経済効果の視点からもまちの経済について調査研究し、青年らしく地域をプラスの方向性へ仕向けられるように運動していくべきです。


国際アカデミー誘致へ

青年会議所運動は世界110 カ国以上で行われております。そしてその国を代表するメンバーとの世界平和に向けたグローバルなネットワークづくりの一環として、JCI 国際アカデミーというプログラムが日本各地で毎年開催されております。JCI 国際アカデミーは習慣や言語、文化の異なる人々と接する中で人間としてのポテンシャルを高められるすばらしいプログラムです。そのJCI 国際アカデミーを立川で開催することによりLOM メンバーはもとより、地域の国際化にも必ずプラスになると確信しています。そこで立川開催に向け、誘致運動を積極的に行っていきます。立川JC メンバーが熱意をもって一丸となり前向きにチャレンジしていきましょう。そして国際アカデミーが誘致された時を見据えて、地域のネットワークを築いておかねばなりません。また、国際アカデミープログラムを通して、地域に還元できることを視野にいれて誘致運動をしていきましょう。


更なる友好へ

日韓の友好関係が社会情勢で様々な変化をしている昨今、姉妹JC である韓国の温陽JCとの交流は姉妹締結35 周年を迎えました。諸先輩達が積み上げてきた35 年の歴史を基に、更なる友好関係の継続を図ります。メンバー間の絆がさらに深まるよう、また長きにわたり友情を育めるようにお互いの伝統・文化や生活を相互理解するためにメンバー同士の家族間のホームスティ交流や若手メンバーによるフレンドシップ交流を積極的に行います。将来的には地域の子どもたちがホームスティし合えるような取り組みも視野に入れて活動します。


人材を人財へ

立川JC の目的である「明るい豊かな社会の実現」を達成するには情熱を持ったメンバーが多く存在しなければなりません。そのためにはメンバーの拡大は毎年重要な課題であります。自分たちが入会した時を思い返してみるとJC メンバーや先輩に誘われて入会した人が大多数を占めていることでしょう。人と人との出会いは縁が無くては成り立ちません。そして入会し事業を通して同志としての思いは、真の友情を育めるひとつになっていると思います。そのことは入会して数年が過ぎたメンバーは熟知していることでしょう。その思いを自分の地域の知人へ真剣に目を見て伝えて、同じ仲間を地区委員会が中心となって率先して増やしましょう。そして入会したメンバーをスキルアップできるセミナーを通じて、より早く立川JC の一員となれるようにしていきます。そして立川JC のメンバーは地域社会を明るい社会の実現に向けてリードできる人の宝庫でありたい。そのためには人の魅力が溢れ、心の大きさに触れそして難題に果敢に立ち向かい成功へと導き、物事を広い視野で捉えられ、情熱溢れるメンバーとなるように人材を人財に変えることが重要です。また、青年経済人としてもあらゆる経済知識とパワーの持ち主になることも必要です。


プラス思考で突き進め

我々は地域社会に貢献できるリーダーに積極的にならなくてはいけません。そして真のリーダーの条件は“明るさ・公平さ・優しさ”であると考えます。(優しさとは時には相手を思いやりながら厳しいことを言えること、人に関心を持つ優しさである)そして何事にも挑戦し、いい時も悪い時も同じ力を出してバランス良く乗り越えるプラスのパワーの持ち主であることです。プラス思考になるためには悪口、言い訳やマイナスの言葉を絶対に使わないことです。そして太陽のような輝きを放ち生命に活力を与えられる存在になるべきです。魅力あるメンバーの結集は大きなパワーとなります。メンバーの湧き出た情熱は、自分の周囲にいる身近な人々を関心層に変え、社会のシステムを大きく変える原動力になります。議論ばかりで運動しなければ何も始まりません。自分たちの組織力を信じて大きい事にトライしよう。1 年間、限られた時間と人の縁を大切に、明るくプラス思考で力を合わせて頑張ろう!


次世代の子ども達が希望に満ち溢れる社会となるように