飾り罫

2008年度 理事長所信

社団法人立川青年会議所
第44代理事長
端 晶弘


すべての道は未来へ通じる


戦後の荒廃という絶望の淵から劇的復活を遂げ右肩上がりの経済成長を続けてきた日本が、バブル崩壊という岐路に再び立たされつつも僅かながら復調の兆しを見せてきた中において、青年会議所は常に創始の精神を忘れず、先達の強い使命感や気概を脈々と受け継ぎながら揺るぎない運動を続けてきました。そしてその精神は今後も変わる事はないでしょう。しかしめまぐるしい変化の起こる現代において、私達の運動は必要とされているのか、「明るい豊かな社会の実現」を掲げた運動によって、社会が本当に変化をしているのだろうか、開催した事業がどのような影響を与えているのかを検証し、その後に私たちは時代に即した運動をどのように更に推し進めていくべきなのか、今こそ常に考える必要があるのではないでしょうか。物質的な豊かさを得た現代において、「活気」が更なる繁栄を生み、精神的にも豊かになりお互いの気持ちが相通ずる社会へと変貌すべきが、様々な問題が日常的に起こるような歪んだ社会へと変えてしまったのは他でもない私達大人です。何よりも次代を担う子ども達へ素晴らしい環境を再生し受け継いでいく事。これは歪んだ社会を作った大人が果たさなければいけない責務だと考えます。私達はその中で改めて青年会議所運動の原点に立ち返り、今後の運動の方向性について徹底的に議論し、組織としての更なる深化を図り事業を遂行する挑戦の集団として、青年としての機動力を発揮します。


更なる気概を持って

皆さんがJCに入会された頃、地域で率先して活動してみたいという気概を持っていませんでしたか。であるにも拘らず組織内での事業がうまく遂行できない事へのもどかしさや、ちょっとした鬱憤や挫折で、削ぐべきでない気概までもが薄らいではいませんか?JC運動は常に仕事や家庭があってのものでなくてはなりませんが、その時間をやり繰りしてでも地域の発展の為、次代を担う子ども達のためにと考えているはずです。その初心を忘れず更なる気概で突き進む事で、メンバーの素晴らしい考えが具現化された事業が展開でき、「明るい豊かな社会」へ繋がるものと思います。


国際アカデミーの開催

立川JCは立川・国立・武蔵村山の3市からなる広域青年会議所ですが、この地域に占める人口は約32万人を超え、多摩の中心と言っても過言ではありません。この中で外国人の比率も年々増える傾向にあり、これから更に発展をしていくためには今までの枠を越えて国際化を意識していく事も当然と言えます。では、地域で今後私達は何が出来るのでしょうか、何をしていかなければならないのでしょうか?答えは明白です。地域の国際化への意識高揚と、啓蒙活動です。立川JCでは国籍・文化・習慣・言語・年齢の違いだけで無くハンディキャップを越えたボーダーレスな多文化共生を更に推し進めるにあたり、まず私達が様々な文化を理解し交流する場作りを行い啓蒙運動を進めた上で、本年度開催の国際アカデミーを出発点として、私達立川JCと地域が有意義な時間の共有を図り「地域の多文化共生・国際化」を推進致します。そして今後立川JCが中心となって地域諸団体の連携を深化させることにより、様々な問題の解決へ向けて前進していきます。


教育への取り組み

ここ数年来立川JCでは重点的に教育問題を取り上げた事業を行っています。教育基本法の改正やゆとり教育の見直しについてなど話題に上る事も多くなりましたが、JCとして単に教育問題を取り上げて関心を高めようとする啓蒙運動をするのではなく、より問題解決へ向けた実践を積み重ねていく必要があります。教育の現場が一生懸命取り組まれている事に対して、私達がより良いエッセンスを加えて皆で子どもを育てていく事業を行う事で、現状把握だけでなく包括的な問題解決への足がかりとなり、更に魅力ある学校づくりに貢献できると考えます。また学校、親だけでなく地域全体で子どもを育て上げるために教育委員会や教育従事者との定期的な懇談を持ち、常に情報収集を行い私達が率先して継続すべき職場体験、総合学習の時間の利用、放課後子どもプランやシビックティーチャーバンクの推進を更に進めていきます。これはJCメンバーだから携わるという事ではなく、子を持つ親として、一つの義務であると考えます。


地域との連携

2003年より開催を続けている公開討論会や、一昨年より取り組みを開始しているwellvoice(市民討議会)の更なる浸透を図ります。公開討論会についてはここ数年で認知度が上がりつつありますが、投票率向上に繋がっていないなどの問題はまだまだあります。立候補予定者の政策だけでなく、より人柄や哲学も理解いただけるような設えも含め、再検討を重ねながら開催して参ります。またwellvoiceについては単に話題となっている事項を取り上げて市民同士の議論を交わすだけでなく、サイレントマジョリティの意見をも吸い上げ、民意の反映された地域行政に向けて提言を重ねていく事で、地域主権型社会の確立へ向けた運動の一環としたいと考えます。立川JCは創立以来地域行政や諸団体との連携を図りながら、まちの様々な事業にも参加・参画してまいりました。しかし、時間的な都合や組織形態から本意に反して満足に協力出来ていない部分もあったと思います。2008年度に関しては、立川JCとしての継続事業はもとより更に様々な事業に積極的に深く参画していく事で、立川JCの機動力や独自性を打ち出し、地域諸団体との連携を深める中でリーダーシップを発揮できるよう実践して参ります。またその中で様々な時事問題にも取り組んで参ります。


温陽JCとの友好

立川JCと姉妹締結を結んでいる大韓民国温陽JCとは、37年間常に積極的交流を図って参りました。しかし温陽JCメンバーには常に私達を家族同然の仲間として受け入れてくれる土壌があるのに対して、私達には「分かりあおうとする心」が欠如していないでしょうか。両JC、また両国のこれからの前途を考える時、この友情を決して蔑ろにしてはなりません。2008年度も定期的交流の中にあって、志を同じくするJayceeとして更なる相互理解と、JCIが掲げる恒久的世界平和の実現に向けて、ホームステイやフレンドシップ等の事業を継続的に開催し、未来の明るい両JCの交流を見据えて友好的活動を続けて参ります。これは地域の国際化を推進するにあたっても非常に重要な意味を持ちます。


システムの深化

立川JCは、創立以来、常に素晴らしい先達の下で進化する団体として運動を進めて参りました。規定に始まり、諸会議の運営、事業の計画・遂行等どのシステムを取っても成熟の域に達しているといえます。しかしながら、事業に対しての成果や今後のまちづくりに向けた方策を内部で充分に議論できる時間をより多く作るため、また全てのルールの検証を行いながら自由且つ大胆な運動を推し進めて行くためには、更にシステムの深化が必要と考えます。またJCがよく言われる「PR下手」を解消するために、より地域や企業と連携した広報を行うことで、国際化に向けた地域発展に対して重要な役割を果たしていく必要があると思います。立川JC独自のゆめ基金が設立されて3年が経ちます。しかし、当初目的としていた市民主導のまちづくりの推進に役立つ交付や実際の成果が残されているのでしょうか?素晴らしい計画を持ちつつも、マンパワーや資金不足などにより開催が出来ないと思われる事業に対して人材・資金の両面から支援をしつつ、地域企業からのサポートも得て原資を減らさないという本来の形で推進していけるよう、更に基金自体の深化が必要となっています。またその深化に伴い恒常的に協働、参画していただける企業の創出に向けての活動を積極的に行います。


挑戦の団体として

私達立川JCは地域の諸問題の解決に向けて常に前向きに取り組んで参りました。そしてその独自性、公平性、行動力が更に地域で認められ、リーダーシップを発揮できる団体として存在意義を確立する事が急務であるといえます。しかしその組織の運営にあたって会員の減少という現実の問題から目をそらす事は出来ません。本年も20名の卒業生を抱え昨年と併せて30名以上の卒業を迎える現状からして、30名の拡大でようやく現状維持となる現実をもう一度考えてください。JCとしての魅力を発揮する事もさることながら、私達が気概を持ち前向きで行動する事、そして運動に対する熱意や魅力を伝える事を、常に行動の際に心の片隅に置いておくという基本だけで、自然と会員は増えていくと思います。これは単に会員数維持による事業費確保という側面だけで無く、120余名を抱える団体として40数年にわたり運営している事が、地域からの信用の確保に役立っているのです。青年会議所の運動は、開催した事業自体が成功であったか否かだけで存在意義が確立するものではありません。私達メンバーの行動一つ一つも常に評価の対象として見られ、良くも悪くも未来へと繋がっていきます。これはJayceeとしてだけではなく、親の行動としても子ども達は見ていることでしょう。私達が明るい豊かな社会を実現し、次代を担う子ども達に輝ける未来を引き継ぐために、何事にも挑戦することの必要性や意義・素晴らしさを説き、模範的行動をとる事を私達は身をもって示し存在意義を確立する事で、更に地域に必要とされる団体に脱皮すべきなのです。


メンバー全員がその目的に向かうべく徹底的に議論を交わし2008年度立川JCは深化の団体、更なる挑戦の団体として邁進して参ります。


1年間どうぞ宜しくお願い申し上げます。