〜商店街との協働で「まちづくり」に参画する大学生〜

出演者:NPO法人くにたち富士見台人間環境キーステーション のみなさん

今回ご紹介させていただくのは、一橋大学に通っている学生でありながら、国立・富士見台地域の商店街振興活動を行っている「くにたち富士見台人間環境キーステーション」(通称KF)の皆様です。

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■どのような活動をされているのでしょうか?

(日高さん) 現在、約80人のメンバーで活動しています。谷保駅付近の商店街「むっさ21」において、コミュニティカフェ「ここたの」や、地産池消の店「とれたの」、雑貨屋「ゆーから」の運営をしたり、谷保駅前の商店街活性化のためのイベントを開催したりしています。 カフェの運営など、活動そのものが始まったのは2003年からです。商店街活性化の具体的な活動として、まず最初に取り組んだのはカフェ事業でした。そもそも、なぜカフェという形を選択したのかというと、「学生自身が興味がある店舗」としてのカフェ、そして、「商店街そのものに足りない業種」としてのカフェという2点の理由があったようです。それから、「大学と地域をつなげたい」ということで、「まちかど教室」を始めました。これは幅広いジャンルをとりあつかった市民向けの教室で、現在も活発に開催しています。

ちょうどそのころですが、サークル活動として、一橋大学の「学長表彰」を受賞させていただきました。これは、3年間補助金が出るというもので、活動面でも非常に助かりました。しかも、大学内に地域活性化に取り組む部屋が設けられ、現在、KFの理事として活動してくださっている市民活動家の方々も大学内に拠点を構えていた時期もありました。 元々、KFの企画を立ち上げた教授が、大学で単位の出る、まちづくりの授業やゼミを持っており、そこを通じて活動メンバーを集めたようです。やはり、単位目当ての学生や活動そのものには興味がないという学生もいたので、まちづくりの授業やゼミを受講した学生の中でも特にやる気のある学生が中心となって、活動がスタートしたようです。

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以前から、自主ゼミなどでまちづくりについて取り扱うということもあったのですが、どうしても研究対象としての目線しかなかったり、継続性がなかったりということもあります。その点、現在のKFの活動としては、継続性という意味で、学生のサークル活動として行っています。ただ、学生ですので、卒業することで代が替わります。年次ごとのやる気の違いということはどうしても出てきてしまって、過去には新歓の時期に一人しか入らなかったという時期もあり、上級生に助けられながら、なんとか活動を継続していたという時期もあったようです。最近では、新歓で入ってくる人数も安定しており、今年(注:2014年度)は約30人が入りました。

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カフェ「ここたの」では、日替わりランチも提供しています。「学生が経営している」と謳っているので、できるだけ学生が店頭に立つようにしていますが、平日の昼間など、学生が授業で店に立つことができない時間帯には、市民の方に有償ボランティアとして働いてもらいながら協力してもらっています。メニューにしても、デザートなどは、自分たちで二か月に一回くらい新メニューを開発しています。 利用者は地域の方が多く、買い物途中の憩いの場として利用してもらっています。それから、コミュニティカフェということで、学生と話をするのを楽しみに来ていただいている方もいらっしゃいます。富士見台団地というのは築50年くらいで、住んでいる方も高齢化が進んでいることもあるのか、実際、「若い人と交流できるのが楽しい」という言葉も頂いています。もちろん、純粋にカフェとして楽しんでいただいています。 それから、「むっさ21」にある「KFまちかどホール」などを利用して、コミュニティを形成するためのイベントもいくつか行っております。オープンマイク形式のイベントを毎月実施しており、朗読や楽器の演奏など、誰でも参加して発表できるような形でホールを開放しています。定期的に来て下さるお客様の中には、静岡から来ていただいている方もいて、大変ありがたい限りです。

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他にも、市役所と協力して、認知症カフェを開いたり、子供向けの砂絵教室を行ったりしました。また、メンバーの親にプロ棋士の方がいたという縁で、子供向けの将棋教室も開きました。 「やほレンジャー」について (杉山さん) 商店街の方の人柄などを紹介する雑誌として、「やっほー」というフリーペーパーを作っています。やほレンジャーというのは、元々は「やっほー」のPRマスコットでした。最初は、誌面に載せるだけにしようと考えていたのですが、「しっかり作った方がおもしろいのではないか?」ということで、衣装を作り、2009年頃に始まりました。その後、少しずつショーやイベントに呼ばれるようになったり、毎週、自分たちが谷保レンジャーとして、「やっほー」を商店街で配ったりするという活動をしていて、少しずつ知名度が上がってきているようです。今では、子供達にも人気で、幼稚園の卒園式に呼ばれたりもしています。

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谷保駅の前には、谷保駅北口商店街、ダイヤ街商店街、そして、むっさ21と三つの商店街があります。谷保レンジャーは三人いるのですが、それぞれが一つの商店街のヒーローということで活動させていただいております。 むっさ21などは、今でこそ、私たちの店舗もいくつかあり、商店街として機能しておりますが、元々はシャッター街で治安も悪かったようです。KFの参加によって商店街が活性化したのかどうかはわかりませんが、商店街の方によく言われることは、「商店街そのものの回転が良くなった」ということです。たとえ、店舗が閉鎖しても、すぐに新しい店舗がオープンする、というように、「商店街に賑わいが出てきた」と言っていただけます。 地産池消の店「とれたの」 (伊藤さん) 私は、「まちづくり」というよりも「経営がしてみたい」ということで、KFの活動に参加しました。元々、谷保という地域の事は何も知らなかったのですが、今では、「とれたの」というお店で国立でとれた新鮮な野菜を販売しています。 7

八百屋というものはなかなかコミュニティにつながりにくいものですが、なんとかして地域とのつながりを作りたいと思いまして、学生スタンプラリーであったり、農業イベントを行ったりと、様々な企画をしました。それから、「生産者とお客さんの架け橋になりたいと」の思いから、農家や食品工場に見学に行き、そこで得た情報をお客さんにフィードバックしています。 農業イベントでは、「とれたの塾」という国立の野菜を知ってもらおうという趣旨でイベントを行っています。土をいじったり、野菜を収穫したり、収穫した野菜を食べたりと「食に関わっている人」とのつながりを作ることで、日々の食事を見直してもらえればいいなと思っています。これからも、様々なことにチャレンジしていきたいです。

 

■今後の展望を聞かせてください。

(日高さん) KFの活動を考える上で、当面の目標は、「活動を継続すること」です。活動を継続していく中で、もっと他の商店主さんたちと一緒に活動したいですし、もっと商店街を活性化したいと考えています。 現状、イベントの時には、大勢の方に来ていただけるのですが、普段商店街に来る方はどうかと言うと、「イベントの時にしか来ない」という方も少なくないです。そこで、今後は、「いかにして個々の商店街のお店に目を向けてもらうか?」という工夫もしなければならないと思っています。

8 *この取材は2015年3月に行われました。その後、4月12日(日)に国立市谷保第三公園にて開催された「国立市長選挙公開討論会」には学生を代表してKFからは伊藤さんが登壇し、立候補予定者に対して質問を行いました。 9

e-みらせん 東京都 国立市長選挙公開討論会

https://www.youtube.com/watch?v=C1x_B3WQgV8

討論会の翌日には「とれたの」店頭にて、常連のお客様に「昨日の討論会見たよ。」と声をかけられたそうです。

 

また、7月24日(金)に立川市アイムホールで開催された「立川市長選挙公開討論会」でも登壇していただき、毎日通学し、商店経営にも参画しているお隣の「国立市」からの目線で、学生ならではの質問を投げかけていただきました。

e-みらせん 東京都 立川市長選挙公開討論会

https://www.youtube.com/watch?v=SsSyP_Hpatg

2015-07-24 20.32.38

 

 

 

 

 

 

 

■参考書籍

学生まちづくらーの奇跡 国立発! 一橋大生のコミュニティ・ビジネス 学文社

KFさんにおける商店街と大学生のコラボレーションの軌跡が一冊の書籍にまとめられています。組織活性や地域活性へのヒントがたくさん詰まっています。ぜひご一読ください。

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KFホームページ:http://www.human-environment.com/

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