NPO法人bond place代表理事  小笠原 祐司 さん

NPO法人bond place代表理事 ワークショップデザイナー、ファシリテーター

小笠原祐司さん

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~どのような活動をされているのですか?~

 地域の人と人を繋げる事、多様な方が安心して話せる場を作りたいと考え、ワークショップや研修、ファシリテーションなどを行い、参加者が主体となる課題、問題解決のサポート、場つくりを行っています。

先日は、新島の島婚(しまこん)という企画のアイデアを出すサポートを行ってきました。いつも同じメンバーで話していると、どうしてもアイデアが出なくなってくる時があり、出たとしてもすぐ否定してしまったりということがあるので、意見を言いやすい空気、風土をつくることをお伝えしながら会議のお手伝いをしてきてました。

会議で意見を求めても誰からも意見が出ない時ってありますよね?原因は4つほどあると思います。

①おかしな事を言っていると思われるのがイヤで言えない場合

②そもそも本当に意見が無い場合

③知識のギャップがあり何を話しているのかが理解できていない場合

④他の人と同じ意見でなくて大丈夫だろうか?という不安がある場合

こういう場合は、お隣の人とグループになって「今どんなことを思っているのか?」を共有する形をとるだけで全然意見が出るようになったりするんです。ちょっとした事で空気は変えることができます。

~現在の仕事を始めるきっかけとなった事は何ですか~

 大学時代に子ども向けイベントを企画するサークルに入っており、児童館等でゲームやワークショップを行っていました。また、障害児を支援するNPOで、自閉症児のサポートや、国際ボランティアとして子ども達に英語を教える活動等も行っていました。

「教えること」や「人の成長」に関心があり、教員を目指していましたが、様々な活動を行う中で「社会人を経験してから教員を目指すのもいいかな」と考えるようになり、人材育成のコンサルティング会社に就職しました。ここでは組織開発や人材育成の理論を学びながら、企業研修などに携わっていました。ある時、「自分のやりたいことがよくわからない」という学生がいたので、同じような悩みを持つ学生を集めてお互いに相談する場を作ってみたらみんな喜んでくれて「こういう活動で、少しでも社会貢献ができるのであればいいな」と思いはじめました。

私は山梨県出身で、社会人になってからは立川在住なんですけど、地元に対して何か貢献したいという気持ちもあり、社会人をやりながら、山梨や立川で土日に地域活動を行うようになりました。そうしているうちに、土日の方で仕事の依頼をたくさんいただくようになり、昨年退職し、個人事業主として、企業研修、組織開発、地域活動、子供向けイベントなどを年間で150回ほどやらせていただき基盤が出来てきましたので、先日NPOとして法人化しました。

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~ワークショップではどの様な事をするのですか?~

ワークショップ(以下WS)は「知識の一方通行」ではなくて、参加者同士が協働して気付きを得る事が出来る学習スタイルです。ファシリテーターが答えを出す事はせずに、あくまで参加者同士の気付きを大切にします。「何が本当の課題であり、背景にはどの様な事があるか、WS後には参加者にどのような状態になってほしいか?」というゴールイメージをファシリテーターは把握する必要があり、WSを行う上で最も重要な事だと考えています。その為に、ファシリテーターは主催者にじっくりと話を伺います。

山梨で教育委員会から依頼をいただいて「スマートフォンとインターネットの健全育成」をテーマとして開催したWSでは「子どもにスマートフォンを持たせるのは心配だ」と考える親と「スマートフォンが必要だ」と訴える子どもが協働して話し合いました。

従来こういったテーマの講演会などは「危ない」「やめたほうがいい」という一方通行なものがほとんどでした。何が本当の課題か?と考えたら「ルールが親からの一方的な押し付けになってしまっている」ということで、「事前に親子で話をする必要がある」と考えたのです。

親子だとどうしても対等な立場での話し合いが出来なくなってしまいますから、親の価値観で一方的な話し合いにならない様に注意し、親子が入り混じって意見を自由に出し合える環境をファシリテーターは設定します。スマートフォンの良い所、悪い所を話し合う事で、親子で納得しスマートフォンを購入したケースもあれば、子供が「スマホはお金がかかるから持たないほうがいいと思った」と考えを変えたケースもありました。様々な気付きの中で一つの結論を導き出す事ができるのがWSです。

何度か開催したこのWSは大変な反響があり、山梨県の新聞でも取り上げて頂きました。また、参加した親御さんからPTAで話題に上がり、他の地域で開催した事もあります。

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~ファシリテーターについて~

その場にいる誰もが学習者になれる形式がWSであり、その学習の場で「気付きを与える事」がファシリテーターの役目です。あくまでも参加者が主役であり、ファシリテーターが主役になってはいけません。100人規模で開催するWSでは当然ながら様々な意見が飛び交いますし、年齢構成が違うWSでは、世代による価値観も違ってきます。様々な形のあるWSで、常に「場を守る人であり続ける事」がファシリテーターに求められています。

ファシリテーターを育成する事は簡単ではありませんが、参加者が楽しめ、そして有意義な時間を提供出来る人材が望ましいです。実は、気付きを得る機会は参加者よりファシリテーターの方が多いです(笑)。同じテーマのWSでも、毎回違う意見、考えが出てくるので、その度に「そんな考え方もあったのか」と頷きます。「スマートフォンとインターネットの健全育成」をテーマとした時は、スマートフォンの良くない点で「スマートフォンばかりしていて子どもの面倒を見ない」との意見が子どもから出ました。これにはハッとさせられました(笑)。

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~ワークショップの活用について~

 結論を求められても中々答えが出ない時、そんな時はWSを参考に進めると良いかと思います。ただし「結論を出す事が目的」の場合は少し違ってきます。この違いはとても重要です。対話と議論の違いと置き換えてもらうとわかりやすいかもしれません。WSはお互いに協働して気付きを導き出す事であり、同じテーマで話し合い互いに理解を深め、統一した結論を出す必要も無い対話です。進行していく中で、大きく3つの場面に分ける事が出来ます。

①  発散する時→②カオス状態の時→③収束する時、です。

様々な立場、考えの中で意見が活発に出るのが発散する時であり、進行していく中でモヤモヤが続く時間帯がカオス状態、そして結論に向けて動き出す時が収束する時です。WSでは参加者がどのような状態になってほしいかというゴールイメージが大切であると話しましたが、そのゴールイメージが1つの判断基準になります。ここで言う結論はゴールイメージです。青年会議所の皆様も会議で行き詰ったら是非、この手法を活用してみて下さい。(笑)

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(小笠原さんが図を描いて説明してくれました)

~まちづくりに若者が参画しやすくするにはどうしたらよいと思いますか?~

 何かをする時に一番大切な事は「熱い想い」だと考えています。そういった熱い想いから、わくわく感や期待感を生み出して形にしていくことが自分の仕事だと思っています。わくわくする程楽しい事、「何か凄い事が出来るぞ!」という期待、そんな想いを共有する事で1つの形になり、それがまちづくりへと繋がって行くと考えています。1人の熱い想いから始まった事が他の人へと繋がり、その人からまた他の人へと繋がって行く事ってとても素敵だと思います。多くのWSを開催してきましたが、一番嬉しい瞬間は「くすぶっている人の心に火を燈せた時」です。これからもその様な場面に多く立ち会える様、活動していきたいです。

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お話しを伺い、今までのWSのイメージが一新される程の衝撃と感動を受けました。実際に活動をされる中で、そこに参加された方から「是非、うちの地域でも開催して欲しい」との繋がりが広がった事がよくわかります。

今回のお話にあった「スマートフォンとインターネットの健全育成」について、是非立川でも機会があれば開催して欲しいとお願いをしました。親子が共に話し合う場が減ってきている昨今、親子参加型のWSは親子の絆を深めるキッカケにもなる様に感じました。

聞き手、記事:稗田、山田

NPO法人bond placeホームページ:http://bondplace.jimdo.com/

 

 

 

 

 

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