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2009年度 理事長所信

社団法人立川青年会議所
第45代理事長 宮崎 昭人


我がまち、人・地域を愛する心を育む


はじめに

現在、日本は世界でも極めて豊かな国の一つになりました。しかし、近年様々な不正や偽装事件・凶悪犯罪が毎日のように伝えられ、経営倫理・社会倫理が乱れ、日本社会の豊かさは物質的な面のみにとどまっているように思います。

日本社会のよき伝統であった「思いやり」や「利他の精神」は希薄になり、他人に依存する社会が形成されるに従い、身勝手で利己主義的な考えを持つ人が増えているところを見ると、心の豊かさではむしろ後退しているように感じます。今こそ、人や地域を思いやる心を育む必要性を、私達一人ひとりが真剣に考えるときなのです。現代の人々は経済至上主義などにより、過度な競争社会に巻き込まれ、人と人との「こころの絆」や「道徳心」「感謝の心」が見過ごされ、人間関係のちょっとしたすれ違いにより、新たな社会問題が数多く生じているように思います。

自分の住んでいるまちや人に対する「思いやり」の精神を育む必要性があります。そのためにはまず、自分たちの育った場所や人を愛し、また語れることが大切です。私達が地域の歴史や特色に関心を持ち、それに誇りを感じられるなら、このまちはより素晴らしい地域へ発展していくと確信出来ます。「夢と希望の持てるまち」を実現していくために、可能性を秘めたこのまちを深く探り、新しい魅力を発見する。そうすることで、このまちに暮らしていて本当に良かったと、私達一人ひとりが実感出来れば、更に魅力的で真から愛される地域が生まれます。


50周年に向けて

立川青年会議所は2009年、創立45周年の節目の年を迎えます。数々の試練を乗り越えながらも、出会いと感動を覚え、明るい豊かな社会の実現を一時も忘れることなく、その運動は、脈々と受け継がれてきた賜と感じています。今までこの組織を築き上げてこられた諸先輩に敬意を表すと共に、より一層のまちづくり運動に積極的かつ果敢に邁進していくことが、我々の使命ではないかと考えます。今一度、青年会議所運動の在り方を本質から本気で議論をし、如いては2000年代運動指針を見つめ直す時期とします。人からしてほしいことは人にしてあげ、人からしてほしくないことは人にしないという「思いやり」の心を市民と共に育み、50周年に向け率先して行動していける未来予想図を、具体的に描くことが必要です。

またJC運動とは未来を創造し常に進歩への挑戦をし、他者とも協力しあい、青年らしく活動する運動です。“地域に根ざした運動”とよく私達は口にしますが、実際に地域から求められているのは、汗をかきながら元気に活動している姿ではないでしょうか。我々JCの熱い想いや考えからにじみ出る「活力」を、地元に発信していくことが大切です。私達は、市民が主体的・自発的に参画するような社会を、創っていくリーダー的存在であるべきです。

2009年は地域諸団体と意見交換をする機会を増やし、これまで以上に連携を強化しながら、地域の問題に取り組んでいきたいと考えます。私達は「時代の変化についていく」のではなく、「自らが変化をつくりだす」という使命と責任を持っています。「私はこんなまちに住みたい」「私はこんなまちにしたい」「子ども達にこんなまちを残したい」という明確なビジョンと目標を持ち、このまちの未来像を、しっかりと見据えなければいけません。


未来へ繋げるもの

次代を担う今の子ども達は、一昔前と比べると自主性が乏しく、他人との関りも希薄になり、まさに危機的状況にあります。現在の子ども達には、倫理感を植え付ける機会が失われているように思います。以前は祖父や祖母から聞く昔話を通して日本人の心を養ってきましたが、現在はその様な機会も少なくなっています。世間を見渡せばニート問題、しつけ問題、学力の低下問題、犯罪者の低年齢化等々、教育に関する諸問題は後を絶ちません。親も学校の先生でさえも、自分の教育に自信を失っているようにみえます。まず私達が、次代を担う子ども達と向き合い、子ども達に倫理観を植え付ける機会を、創造することが必要です。地域と連携を図りより良い仕組みや、教育環境を創り出すことも私達の責務です。

私達は、第21回国際アカデミー開催LOMとして多くのグローバルネットワーカー誕生に関わった経験を生かし、国際交流活動の素晴らしさや必要性を伝えていくことも、グローバル化の進む時代、未来に向けて必要不可欠なものと位置づけます。

姉妹JCである韓国の温陽JCとは37年の交流があり、今日まで様々な友好関係が築き上げられてきました。国家レベルでは様々な問題もありますが、今後も更なる友好関係が図れるように、若手メンバーによる家族間交流などを積極的に行い、両JCの「絆」をより強いものにして、未来に繋げていかなくてはなりません。


魅力あるまちであり続けるために

私達が活動エリアとする立川周辺地域は、駅周辺の産業発展や自然に恵まれた国営昭和記念公園、防災基地としての役割を担う施設が融合する多摩の中核を担う、素晴らしい地域です。まちづくりは、市民一人ひとりが考え行動する自治の考えが基本にあると思います。地域の魅力を再認識し、市民や地域企業がその魅力を発信できる人にならなければならないと考えます。

次代を担う子ども達が、地域や人に愛着を持てても地域企業の発展がなくては地域から離れることに繋がります。地域を支える企業にとっては、今環境問題は避けて通ることができないテーマです。私達は未来を見据え、地域産業・企業の発展に向けて導くことが求められています。環境に関心を持った経営者を育成する必要性があります。地域に環境を考えたビジネスモデルを発信すると共に、次代を担う子ども達を雇用出来る仕組み創りを確立し、魅力あるまちを描きたいと考えます。


挑戦し続ける組織であるために

「明るい豊かな社会の実現」に向けて、メンバー一人ひとりの視野をこれまで以上に広げ、地域の人財となってリーダーシップを発揮することは大変重要な使命です。メンバーが様々な機会を通じて資質を向上することで、時代に即した効果の高い運動を展開し、地域の発展に寄与できるのではないでしょうか。自分の人生において使命とは何か、なぜJCに入会し社会貢献しているのか?明確な目的意識があるかどうかが問われています。答えが見えない中で、自分なりに何とか状況を打破する英知と勇気と情熱が求められています。

ここ数年で多くのメンバーが卒業を迎えます。近年会員の入れ替わり周期も早く会員が伝え合うべき、JCの伝統や組織のルールを含めた教育や伝達などが、希薄になっている様に強く感じます。組織の存続や将来性のある運動を展開していくためにも、会員研修や会員拡大は重点を置かなければならない課題です。メンバーが増えることで、地域に幅広く有効な事業が展開できます。結果LOMの活性化や地域の発展に繋がります。皆さんも比べてみて下さい。JCに入会した頃と今を。仲間と関り合い学んだ経験がどれほど自分自身を成長させ、どれほど人生を豊かにしてくれているか。今一度、原点に立ってJC運動の可能性や価値を感じ取って下さい。私達一人ひとりの姿勢が理解されれば、必ず多くの仲間ができます。


おわりに

私達は、今ある様々な問題を認識・調査・研究し、問題解決の為にどの様に行動すべきかを考え、一人ひとりが明確なビジョンを持ち、目標を達成させるという気概を持たなければなりません。そしてより多くの人を巻き込み行動し「絆」を創っていくことで、「明るい豊かな社会」が、実現していくものと強く信じます。社団法人立川青年会議所のメンバーであることに、自信と誇り(プライド)を持って行動し、「明るい豊かな社会」の実現を理想に掲げ、英知と勇気と情熱を持ち活動し、魅力あるJCを創りあげる一年といたします。