塞の神どんと焼きレポート

 2016年度入会 共感リレーション構築委員会の秩父あぐりです。今回、私は初めてどんと焼きに参加いたしました。どんと焼き・立川JCとの歴史を知り諸先輩方から受け継がれている伝統ある事業であり、新年1回目の事業でもあるということで緊張感をもってでもワクワクとした気持ちもある中で参加しました。

○塞の神どんと焼きとは
 塞の神(どんと焼き)とは、お正月に飾ったお飾りを集めて、小さな小屋(かまくら)を作り、子どもたちが悪い病気にならないようにこのかまくらを燃やして祈るお祭りです。さらに、このかまくらを燃やした火で篠竹に刺した手作りのまゆ玉と言われる団子を焼いて食べて、1年間元気で過ごす、無病息災を願います。
 【どんと焼きを塞の神というのは、塞の神の意味が「村や部落の境にあって,他から侵入するものを防ぐ神。邪悪なものを防ぐとりでの役割を果すところからこの名がある。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)」という意味があるからだと思われます。】
 国立市のどんと焼きは数十年前にいったん消え去ったのですが、国立に生まれ育った子ども達に強い郷土意識と伝承文化を知ってもらうために復活させて40年目になるそうです。40年前その当時、国立市は南側の谷保地区、富士見台地区、駅前地区と3つの地区に分かれ、それぞれの特性や事情が異なることからまとまりにくい側面があったようです。そこで私たちのOBである立川JCメンバーが「地域の発展に差しさわりがあるのではないか」という想いから、地区の垣根をこえて住人達が協働を通じて交流を深め、繋がりをつくりだすことを目指し、この行事をはじめました。

 1月8日の前日準備では立川JCではどんと焼きの肝であるかまくらを作るための正月お飾りの整理、まゆ玉作りで必要なお湯や炊き出しのためのお湯を沸かすための薪割り、市役所から物品の移動、篠竹の移動、JCの倉庫からテント持ってくるなどの役割がありました。

 私は、お飾りの整理と市役所からの物品移動を行いました。たくさんのご家庭から正月飾りが集まっていました。各青少年団体やロータリークラブの方達と協力をして燃えるものと燃やさないものの仕分けをして、集まったものでかまくらを作りました。お飾りも1家庭ごとの数は大したものではないのですが集まるととても多く重くかったです。各家庭での祈りの思いが詰まっているのだと思いました。ケガをしないように軍手をつけて小中高生や地域の諸団体と協力してかまくらを2個りました。
   

 9日のどんと焼き当日は、早朝より雨が降っていましたが朝4時15分位に谷保第3公園へ向かうと暗くしとしとと雨の降り広場は雨でぬかるんでいる中、実行委員の方はすでにいらっしゃり火の番などされていました。5時を過ぎ、集まった立川JCメンバーで円になって岡部理事長からの挨拶を受け、とても気合いが入りました。

 そしてまゆ玉を作成のためのお湯を沸かすために実行委員会の方の指導の下薪に火をつけました。お湯が沸いたら、まゆ玉を作成します。まずは上新粉にお湯を適量入れてへらでよく混ぜて、手で熱いお湯の混ざった粉の粒をつぶすようにまぜてまとまってきたら体重をかけて力をいれてこねます。出来上がったのがまゆ玉の種です。これをピンポン玉サイズの大きさにちぎって丸めます。そしてそのまゆ玉をお湯の入った窯の上にセイロを置いてその中にまゆ玉を入れて蒸していき、最後に篠竹につけて完成です。

 先に先輩に見本をやっていただき、先輩や実行委員の方のご指導の下、2016年度入会の新人みんなでまゆ玉の種を作成しました。力がいる作業ですが、コツをつかむと楽しくなってきます。捏ねるのに力がいるので男性メンバーに数多く捏ねてもらいました。粉を捏ねるとまずは袖口やお腹周りに粉が舞ってつきます。気が付くと全身粉だらけになっているメンバーもいました。最初は戸惑っていたメンバーもこういう単純作業も好き、楽しいと笑顔で上機嫌になりました。食紅でピンク色のまゆ玉も作り始め、かわいいねとの声も上がり、正月はどう過ごしたのかなどワイワイ話しながらやっていると気が付くと空が明るくなっていました。
   

 実行委員の方の炊き出しでうどんをいただき、立川JCのメンバーで集まり岡部理事長から締めの言葉をいただき記念写真を撮った8時頃、午後からJC運動のあるJCメンバーは帰宅の途につきました。



 入れ替わるようにして小学生の団体が親子が来てまゆ玉を丸め、国立高校の生徒さんがお手伝いボランティアにやってきたのでまゆ玉の種作りを立川JCと地域の方と協力して指導し、また賑やかになってきました。
 立川JCでがまゆ玉作りの他にポップコーンを作ってお客様に配る役割を毎年行っています。ポップコーンマシーンは前日に市役所よりお借りしていたので、マシーンの使用法を確認して、油・ポップコーン豆・塩を入れて作り始めました。休みなく作りましたが、いつの間にか並び始めたお客様の列はお祭り終了まで途切れることがありませんでした。まゆ玉つくりが終わった高校生がポップコーン作りを手伝ってくれることになり教えるとすぐにコツをつかんでできるようになりました。
 その内に、どんと焼き祭りの参加者が次々と集まり始めました。参加者は炊き出しの雑炊や甘酒、ココアなどを楽しみながらもまゆ玉のついた篠竹をもらって持ち、前日に作った2つのかまくらを中心に円を描くように並んでいました。私はJCメンバーより声をかけてもらい、谷保天満宮よりお越しいただいた宮司様をお迎えに行きました。かまくらの前に祭壇を作られ、宮司様より祝詞をあげてもらいました。先ほどまでのがやがやした雰囲気から空気が神聖なものに一変しました。

そして、国立市を代表する方何名かで火分けてもらい、かまくらに持って行って火がつきました。かなり大きな炎が浮かびました。セレモニーは続き、市長様や議員様のご挨拶がありました。朝から準備してきたどんと焼き祭りの始まりを実感しました。
谷保天神太鼓の演奏があるとアナウンスがあり駆けつけました。演者さん達の真剣な眼差し、太鼓を凛々しく叩く姿、心地よく響く太鼓や笛の音色、新年にふさわしいひと時でした。

 

気が付くとかまくらの炎は勢いが弱くなり、かまくらにも近づけるようになって参加者それぞれまゆ玉を焼いていました。見ている内、「まゆ玉を焼いてみよう!」という気持ちなりJCメンバーとまゆ
玉を焼きに行きました。まゆ玉がついた篠竹を持ってかまくらに近づくと、収まっていると思った炎もまだ燻っており、頬が熱く感じるようでした。煙もかなり上がっています。まゆ玉を焼いていると篠竹が意外と重く感じ姿勢を保持するのも大変でした。焼き目がついたので一口食べてみました。味はついていないのですが、とてもおいしく感じました。そして焼きあがったまゆ玉を親子や友達同士、笑顔で食べている様子はとてもうれしく誇らしく思う瞬間でした。「これで健康に一年すごせるね」と言った参加者の言葉もうれしく心に響きました。
 その後は、後片付けを立川JCと地域の諸団体の皆様で手分けして行いました。気が付くと空は青く晴れて暑く感じるくらいになっていました。洗い仕事、力仕事や広場の床の段ボールやマットなどを片付ける際も皆さん泥だらけになりながら一生懸命にしていただきました。感謝の気持ちで一杯です。

金子議長にインタビュー

-今回開催されたどんと焼きについてお話をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。まずはどんと焼きの準備についてですが、地域の諸団体といつからどのように準備を進めてきたのでしょうか。
金子:昨年の11月初旬から実行委員会に参加して、谷保の神社の社務所で会議がありました。少しずつ話合いをしていきました。

-随分前から準備があったのですね。本当にお疲れ様でした。前日当日含め、準備で大変だったことは何でしょうか。
金子:JCのメンバーみんなのスケジューリングが(難しかった)来てもらえる人来てもらえない人がいるから、なるべく参加してもらえるようにする呼びかけが大変でした。

-なるほど、お疲れさまでした。金子議長は初めてどんと焼きに参加したとのことですがどんと焼きを行う前と後で気持ちに変化がありましたか。
金子:やる前と後では全然気持ちは違います。やる前はなんだろうなっていう資料の中のどんと焼きでしかなかったけれども、実行委員会の方やJCメンバー、国立高校の生徒さん(ボランティア)が捏ねたまゆ玉を地域の子(青少年団体など)が丸めて、地域一体となってまゆ玉作りをしていて、いいなあと、(どんと焼きを通じて)地域の一体化を感じましたね。

-その中で立川JCも一緒に楽しんで関わることができた。地域運動をやっているという実感が持てたのですね。
金子:そうですね。

-なるほど、始まる前は資料の中のどんと焼きやってみたら地域の皆さんと協力して行事ができた楽しかったという感じでしょうか。
金子:あと思ったよりも火がすごかった。顔が焼けるような火の勢いがすごくて迫力がありました。また、息子(小学生)も連れて行ったので、息子もすごい楽しんでくれて、お餅(まゆ玉)も一緒に焼いて食べたりしました。

-随分前から準備があったのですね。本当にお疲れ様でした。前日当日含め、準備で大変だったことは何でしょうか。
金子:JCのメンバーみんなのスケジューリングが(難しかった)来てもらえる人来てもらえない人がいるから、なるべく参加してもらえるようにする呼びかけが大変でした。

-ところで金子議長はどんと焼きで楽しかったことは何かありますか。
金子:楽しかったのは、僕個人的には、自分が実際行ったこの事業で、「みんなが笑っている」「楽しんでいる」地域の皆さんも、まゆ玉団子を誰が作ったかわからないけれども、それを焼いて食べているのを見て良かったなあと思いました。

-そんな皆さんが楽しんでいるところにやりがいを感じたのですね。
金子:そうですね。やりがいを感じました。ぜひ来年も参加してきたいですね。

-来年に向けてはその辺を強めて発信していきたいと、一議会員としてみんなを誘って行こうよと言えるように。一般の人もこれを見て来たいと思ってもらえるような、でも結構どんと焼きには親子連れ多かったですよね。いい行事ですよね。
金子:そうですね。今回感じた楽しさをいかに来年に繋げていけるかだと思います。

-はい。来年もがんばります。本日はお忙しい所、お話し聞かせていただきありがとうございました。

 国立地域価値創造会議の新年1つ目の事業である塞の神どんと焼きは、JCメンバー同士の絆も深まり、地域の方々との連携も強まり、地域の方々の素敵な笑顔に出会えたとても良い祭りであったなと思います。お力をお貸しいただいた皆様ありがとうございました。

レポーター:共感リレーション構築委員会

秩父 あぐり