【開催報告&体験レポート】第945回例会「ゼロ‐2030」に向けて~私たちの宣言~

共感リレーション構築委員会 秩父あぐり 

2017年8月22日(火)に「第945回例会「ゼロ‐2030」に向けて~私たちの宣言~」が衆議院第二議員会館の多目的ホールにて開催されました。今までの体験学習の集大成です。前回参加した中学生がSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールから1つテーマを選び、理想のまちと課題について考えたことで最後には宣言をしました。

午前中はGlobalPartnership委員会のメンバーと中学生とで政府の施設を見学し、その後発表会の準備を行いました。そして私を含めた立川青年会議所の他のメンバーは午後に発表会より参加いたしました。小田原潔議員のご尽力で、現職の大臣が3名を含む多くの国会議員の方々が参加してくださいました。ありがとうございました。主賓の方のそれぞれご挨拶いただき、小田原議員は国会議員になった理由にSDGsがかかわっていること、それがとても重要であることをわかり易く説明して下さいました。
そしてこどもたちの発表がはじまりました。

まずはチームAの立川第6中学校3年生高島真之介くんと松田草梓くんはSDGsの10番『人や国の不平等をなくそう』を選び、「ゼロ‐社会的不平等」を発表しました。チームAの考える理想の「まち」は「障がい者でも働きやすい環境」「外国人でも働きやすい環境」でした。「まち」の課題については「障がい者が通勤しやすい環境が不十分(通勤ラッシュ等)」「障がい者の人が能力を発揮できる仕事を提供(創出)できていない」「外国人や障がい者とコミュニケーションをとる機会が少ない」「外国人の中に不法就労する人がいるため、外国人のイメージが悪くなりがち」「いまだに第2次世界大戦のわだかまりが残っている」でした。課題ゼロの解決策は「相手の立場を体験する機会」「日本人と外国人が交流する機会」「障がい者の就労支援」の3つでした。そして「ゼロー社会的平等への私達の宣言」として私たちは、2030年までに差別などの立川市の社会的不平等をゼロにします。そのために相手の不安な気持ちの理解を促す活動をすることを宣言しました。

 次にグループB立川第6中学校の3年生山田隼矢くん、1年生の千葉怜麿くん、1年生の小沼奎介くんはSDGsの11番『住み続けられるまちづくりを』を選び「ゼローポイ捨て」を発表しました。チームBの考える理想の「まち」は「ゴミが落ちていないキレイなまち」「ゴミに対する意識の高いまち」でした。「まち」の課題については「分別ができていない」「エコバックや携帯灰皿を使っていない」「ポイ捨てに対する意識が低い」「他人事だと思っている」「余分に買ってしまっている」でした。課題ゼロの解決策は「ポイ捨てをしている人を注意する」「ゴミが落ちていたらゴミ箱を捨てる」「エコバックや携帯灰皿を使う」でした。そして「ゼローポイ捨ての私達の宣言」として「私たちは、2030年までにポイ捨てをゼロにするため自分たつから率先してゴミ拾い、ゴミの分別をしてポイ捨てをしている人を注意すること」を宣言しました。

 グループCは立川第一中学校の二年生立川あり彩さん、立川第二中学校三年生の中川未稀さんはSDGsの7番『エネルギーをみんなに そしてクリーンに』を選び「ゼロ-化石燃料の立川」を発表しました。チームCの考える理想の「まち」は「自然に最も優しい街を作る」「再生エネルギー自給率が100%の街」「家庭での再生エネルギー利用100%」です。「まち」の課題は「将来の人口が減少する⇒人を呼び込む魅力の創造」「エネルギーを作っていない⇒エネルギー開発」「商業施設が駅周辺に集中しているので渋滞がひどい⇒モノレールの活用など分散化」「化石燃料削減に向けた強制力がない⇒条例の制定等」「市民の問題意識が高くない⇒周知を図る必要がある」でした。そして課題ゼロの解決策としては「楽しく発電!テーマパークを作る」(市が運営する発電テーマパークを作る。発電するアトラクションを作る。発電日とつくって、テーマパーク床発電や自転車発電など健康増進も含め、楽しみながら発電する日を設ける)「化石燃料を制限する」(ガソリン車の乗り入れ規制などを作り、一定の強制力をつくる)「2030年までに再生エネルギー100%宣言」(全世帯太陽光発電、全世帯電気自動車、市で必要なエネルギーは自分達で作る)でした。最後にゼロー化石燃料のまち立川」へ「私たちは、2030年までにゼロー化石燃料の街立川にするために、署名活動により市民に働きかけ、市に陳情すること」を宣言しました。

グループDは立川第二中学校の三年生の星野翔馬くん、岩切健太くんはSDGsの8番『働きがいも経済成長も』を選び「ゼロー立川のブラック企業」を発表しました。理想の「まち」は「ブラック企業がゼロの社会」です。「まち」の課題については、「労働者の立場が弱い」「行政の取り締まりが弱い」「労働者の労働の法律に対しての知識が薄い」「求職者が多い(有効求人倍率0.56倍)「労働者が助けを求める弁護団体などがあまり知られていない」です。課題ゼロの解決策は「労働者がブラック企業や法律について知る機会を設けること」「労働者が企業と戦う補法や助けてくれる団体について知ること」「国からの企業に対する罰則の強化」でした。「ゼローブラック企業」へ「私たちは、2030年までにチラシを作成して企業や町の人にPR活動をすること」を宣言しました。

発表の後は質問や意見交換を中学生と国会議員の方で行われました。私が印象に残っているのは、グループCからの「化石燃料ゼロを実現している街はありますか」という質問でした。お答えいただいた議員の方からは「実現に向けて頑張っている街もあります。またエネルギー節約のためには車にいつも積んでいる荷物、例えばゴルフバックなども積んだままにしないで使わない時はおいてくるようにするだけでガソリンの消費量が違うのです。」とありました。私は、考えればわかることなのに気が付かず、つい便利だからと荷物を車に置きっぱなしにするその小さな行動もエネルギーの無駄使いになると衝撃を受けました。地道だけれど一歩を踏むだすことでまちを守れるということをきちんと考えていきたいと思いました。意見交換の後は、修了証の授与式を行いました。外務大臣の河野太郎さんのお名前の入った修了証を政務官の堀さんより中学生一人一人が受取りました。皆照れながらも嬉しそうに受け取っていました。授与式を見ながら中学生の皆さん本当にここまでよくがんばった、お疲れ様でしたと思いました。続いて記念写真を撮影し、宮田副理事長より中学生の皆さんと議員の方へ感謝の気持ちを伝えて例会は終了となりました。

今回の発表は、中学生それぞれがグループごとに精一杯考えた宣言、とても貴重な宣言でした。中学生ならではの自由な考えや発想があったり、身近な時事問題をからめて考えていたり、知らなかった問題を一生懸命調べたり、それぞれの課題をじぶん事としてとらえて最後に発表できたことはとても素晴らしいと思いました。また、今回の例会は衆議院第2議員会館という普段は入ることの無い場所で行われ、国会議員の方に対して自分達の意見を発表する機会をいただきました。国会議員の方に一中学生の意見を聞いていただけた体験はより「自分ごと」としてSDGsを考えるのに臨場感を持つことができたのではないでしょうか。2030年という近いようで遠い将来について考えてみることは中学生にとって難しいことかと思いましたが、継続的な学習によって少しずつ現実的に考えることができたのではないかと思います。
今回のGlobalPartnership委員会では「他人事にせず自分事として世界と自分のまちの課題を考えるようになる」こともテーマになっていましたが、体験学習や発表会を見て中学生たちが一生懸命学び、自分ごととしてとらえられるようになっていく過程を見ることができました。きっと宣言をした中学生はSDGsの17のゴールを海の向こう、テレビの向こうの話ではなく、今住んでいる街のことでもある、じぶん事と思えるようになったと思います。私達大人もそうですが、理想として考えたことを行動に移すのは容易なことではありません。でも、参加した中学生の皆さんが何か行動する時、ゴミを捨てる時、街を歩いている時、外国人の方や障がいのある方と接する機会を持った時、仕事をする時、生きていく中できっと今回のことを思い出して行動できるのではないかと思います。私自身も3月の例会から体験学習を通してSDGs(持続可能な開発目標)を自分ごととして捉えられるようになってきたと感じています。自分にできる小さな一歩から、SDGsが実現した豊かな世界を目指して、今後も考えて行動していきたいと思います。